台東区にオフィス兼自宅を移すことになってすぐに考えたのは、通信環境をどうするか、ということだった。オフィス内のLAN、鬼怒川店とのデータのやりとり、インターネットへの接続など、ローコストで安定してシステムにするよう考えなくてはならない。インターネットに関して選択した結論は、CATVのINETサービスを受けることだ。
都心部のようにビルが立ち並ぶ地域ではTV電波が乱れることが多いらしく、CATVが普及しているのだが、具体的には局から各家庭やオフィスに光ケーブルや同軸ケーブルをつないで有線で番組を配信している。結果として映像情報を送れる高速大容量の通信線網が整備されているわけで、これをインターネットにも活用しようというアイデアは当然かつ合理的だ。CATV事業者などを中心とする「地域マルチメディア・ハイウェイ実験協議会」で実験と事業化が進められ、昨年あたりから全国のCATVが続々とサービスを開始している。
問い合わせてみたら、台東ケーブルテレビでもこの4月からサービスを始めたということで、さっそく資料を取り寄せ、検討の結果、これを利用することにした。電話線を使わないから電話代ゼロ、24時間つながりっぱなし、高速(最大で上りが2Mbps、下りが8Mbps)というのだから魅力的だ。CATVのサービスエリアは意外と広いので、地域内か、INETサービスは行なわれているか、こちらで調べてみてはいかがでしょう(この表では台東ケーブルテレビは7月から事業化予定となっているが、実際は4月から開始されている。それぞれのCATV会社に問い合わせてみる方が良い)。
さて、具体的な費用だが、これはCATV会社によって料金体系が異なる。ここの場合、オフィスと自宅で計4台のPCに接続することにしたので、月々の料金は7500円(固定)。工事費はハブやLAN配線を含め6万円くらいになった。PCが1台で良いのなら、それぞれ4700円/月、工事費2〜3万円ということになる。高速の常時接続、電話代不要、ISDNを利用する場合のTAの費用などを考えると十分割安ではないだろうか。
肝心の使用実感だが、常時接続なのでダイアルアップの手間と時間がかからない。ブラウザを起動させるとすぐにホームページが立ち現れる。スピードは、スペック上は最大でINS64の100倍くらいになるはずだが、実感としては数倍というところだろうか。でもメガ単位のファイルが数十秒でダウンロードできるから待ち時間のストレスはほとんど解消された。なんといっても電話を使っていないから、テレホーダイタイムを気にする必要もなく、開きっぱなしにして席を離れても構わない自由な気分が嬉しい。
良いことばかり書いてきたが、問題点や注意すべき点ももちろんある。ひとつ、これは導入コストにも影響することだが、電話回線用のモデムやTAのかわりにケーブルモデムを利用する(その使用料は月々の料金に含まれている)が、これとPCはLANケーブルでつなぐためPC側にLAN(ネットワーク)ボードが必要になる。これ自体は1万円以下で購入できるので大きな負担ではないが、CATV側との相性があるようだ。実際、私の場合、今まで使っていたLANボードがうまく機能しなかったのでCATV会社にもう1枚推奨ボードを追加してセッティングしてもらった。
ふたつめは、セキュリティの問題。難しいことはよくわからないが、CATVというのは、局がプロバイダーのような役目を果たし、そこから加入者に対しては大きなLANのような環境になるので、その中に自分のPCが無防備な状況に置かれることになるらしい。うちのように小規模といえ社内LANを張っている場合、最低そのLANとINETの系統は分けたほうが良いらしい。具体的にはLANボードや配線を分けるということだ。というわけで、前記のようにLANボードを2枚ずつ用意することはこの意味でも望ましい。
ちなみに、常時接続といっても、固有のアドレスが与えられるわけではない(6時間毎に変わるそうだ)ので、ウェブサーバーを自分で持つ場合には使えない。また、接続が物理的に固定されている(私の場合、台東区のこの建物内のPCを離れるとつなぐ方法がない)ので、出先でアクセスするようなモバイルコンピューティングにも使えない。必要なら、プロバイダを使ったダイアルアップ接続できる環境を維持しておかなければならない。
長々と書いたが、現時点ではひじょうに合理的な選択だったと考えている。検討をお勧めします。



