ありがたいことに、「早く旅籠屋をアチコチに増やしてください」というメールをいただくことが多い。もちろん、誰よりそうしたいし、手元に100億円というお金があれば、今すぐにでも日本全国に100軒の「旅籠屋」を誕生させる(需要は十二分にある)のだが、お金に余裕がないというのはほんとうに悔しい。機会損失もいいところだ。儲けるチャンスを失っているという意味だけでなく、多くの旅行者が不合理な費用と時間を負担せざるを得ない状況が続いているのが情けない。


5・6・7号店がそうであるように、現在「旅籠屋」は遊休地のオーナーに建物を建てていただき、これを当社が長期間借り受けてホテルの経営・運営を行うという形で出店している。「旅籠屋」は基本的に郊外立地なので、出店可能な遊休地は全国にあり、土地だけ貸したいという地主の方はそれこそ無数にいらっしゃるのだが、あらたに建築費を負担して活用をしようという方は限られてしまう。20年間の家賃保証で、追加の費用負担も実務負担もまったくないのだから、たいへん堅実で安定した活用法だと自負しているのだが、世の中の雰囲気が臆病になっているせいか決断を先送りするケースが少なくない。


というわけで、「北上店」のオーナーのような方は貴重な存在なのだが、その方に「私と同様、市街化区域内に非営農地を持っていて、税負担が重い遊休地を活用したいと考えている人は全国にたくさんいるはずだから、農協にこうした活用法をひろくPRしてもらってはどう?」という提案をいただいた。1年近く前のことだ。さっそく、昨年5月、全国農業協同組合中央会(JA全中)の地域振興部に連絡をとって、事業説明に伺った。幸いとても興味を示していただいたが、「こうしたことは全農の方が適当なのです」というわけで、翌月、同じ建物の中にある全国農業組合連合会(JA全農)生産資材部を訪ね、再度プレゼンをさせていただいた。こちらでも同様にとても興味を示していただいたのだが、「具体的なことは東京支所が担当していますので」というわけで、半月後、またまた同じ建物の中にあるJA全農東京支所の担当部署を訪ね3回目の説明を行った。「面白いですね。具体的な案件があったら連絡します」というところまでようやくたどり着いたというわけだ。
しかし、この話しは残念ながらそれっきり何の反応もない。せめて、アパートやマンション以外にもこういう活用法がある情報だけでも伝えてほしい、と思ったのだが、大きな役所みたいな組織だし、これ以上催促するわけにも行かない。


そんなことを前述の「北上店」のオーナーに愚痴ったところ、「それなら、農家の多くが購読している新聞に取り上げてもらってはどう?」という助言をいただいた。気を取り直して日本農業新聞のデスクを訪ね、4回目の説明。すでに、10月。


ここまで来れば、賢明な皆さんにはその後の状況は書かなくても察していただけると思う。残念ながら、改めての取材はなく、1行の記事にもなっていない。


どんなビジネスであれ、売り込みはたいへんだ。結果がすべてなのだから、一方的にこうした相手の「無理解」を嘆くのは経営者としてはほめられたことではない。よく分かってます。だから、今まで書かなかったんです。
しかし、最近、現在最終段階に入りつつある出店交渉の中である地主さんから言われたことで、とうとう私も書かずにいられない心境になった。その地主さんは「旅籠屋」を建てて土地活用する決断をされたのだが建築費の融資相談に行った農協で「どうせラブホテルじゃないですか」と言われて断られたそうなのだ。


地元の町役場は「町の活性化になることですからぜひ出店してくださいよ」と大歓迎なのに、あー農協って何なの?。
もちろん地主さんは、他の金融機関に相談されているので、きっと計画は実現すると信じているが、
私はもう農協には心底失望している。