北朝鮮拉致問題で大騒ぎだ。数十年前、北朝鮮を理想郷のように持ち上げて、在日朝鮮人の「帰国」や日本人妻の「北行き」をあおったマスコミが、今度は被害者可哀想の大合唱だ。いつも正義の味方、インテリ面して世論を引っ張っているつもりの風見鶏。あー嘘ばっかり。無責任。不和雷同。

新聞によると、5人の一時帰国者を「北朝鮮に戻さずに、このまま日本に永住させる」方向で国が検討しているらしい。なんだか、みんな「そうだ、それがいい」と拍手を送っているみたいだが、私はとんでもないことだと思う。大いに違和感を感じる。


だって、彼らは、20年以上も北朝鮮で生活し、子供を育て、社会の一員として何かしらの立場を築いてきているわけだし、その生活を周りの人間が壊す権利はないんじゃないの。「20年も待ったんだ。2度と会えなくなるかもしれない」という年老いたご両親の心情はもちろん理解できる。しかし、子供たちには子供たちの生活が、孫たちにも孫たちの人生がある。今、日本に戻ってきてゼロから新しい人生を始めることがほんとうに幸せにつながることなのだろうか。孫たちにとっては言葉も文化も価値観も違う国であり、なおさらのことだ。帰るか残るか、それを決めるのは当人たちの判断、当たり前のことじゃないか。


日本に帰国した中国残留孤児の方々のその後をテレビで見たことがある。祖国に戻ったから幸せになるなんて幻想だ。どこかに日本人の傲慢があり、ベタベタの距離感の欠如があり、無神経な押し付けがある。5人が家族とともに日本で暮らし始めたとして、果たしてどういう人生が待っているのだろう。当人たちの立場になって想像してみたらどんなシーンが浮かんでくるだろう。ワイドショーレポーターが追い掛け回し、何かトラブルがあれば手のひらを返したように「国のおかげで戻ってこれたのに、国が生活費の面倒までみているのに・・・」なんて言い出しかねない。


自分の頭で考えず、いつも人の噂話にばかりに耳をそばだてている日本人。薄っぺらな道徳観、無責任な同情、ワイドショー世論に迎合する愚民政治。相変わらずご都合主義のマスコミ報道なんかに惑わされず、わがままに自分たちの個人的な意思を表明して欲しい。「今度は、皆さんが私たちを日本に拉致するのですか!」って叫んだら、鈍感な偽善者たちはなんと反応するだろうか。