「那須店」と「秋田六郷店」のオープンから一息つく間もなく、急遽決まった「鬼怒川店」の改修工事と決算の処理に忙殺されている。前者は昨日予定どおり工事が完了したが、後者はまだ作業半ばというところだ。
昨秋の公募増資をきっかけに精度の高い会計処理を行う義務と責任が生じて事務が煩雑になっているということに加え、これをベースに今後の事業計画を策定するための戦略的な分析と判断に時間を要するということなのだ。
というわけで、相変わらずゆっくり日記を書く余裕もないが、最近ちょっと頭にきたことがあるので、書き留めておきたい。


先日、私個人として学資ローンの申込みに銀行に行ったときのことだ。当面必要な額だけを臨機応変に自由に利用したいのなら「カードローン」の方が適しているとのことで、200万円の枠で申し込み手続きを行ったのだが、数日後、見事に断られてしまった。
毎月の役員報酬の振り込みと公共料金の支払いなど、すべてこの銀行の口座を利用しているし、もちろん過去にブラックリストに乗るようなことは何もしていない。たしかに経営者とは言っても会社未だに赤字だし、私個人の年収は同年代の大企業サラリーマンよりはかなり少ないと思うが、それにしても、たかだか200万円の信用も与えられないのかと愕然とした。
後日、別の都市銀行の担当者にこの話しをしたところ、「審査は別のセクションで機械的に行うので、個別に要素を加味して判断するのは難しいのですよ。勤続10年以上のサラリーマンなら通る可能性が高かったのでしょうが・・・」ということだった。


審査基準の判定を単純化して、手間暇のコストを節約しなければならない事情はわかる。しかし、それは、リスクをとるかどうかの判断を省略していることでもある。リテールバンクを標榜する銀行の実態を垣間見た気がした。ないものねだりをするつもりはない。しかし、正直なところ、ひじょうに不愉快だった。


銀行で腹の立った記憶といえば、6年前にも忘れられないことがあった。15年を越えるサラリーマン生活にピリオドを打ち、株式会社 旅籠屋本店を設立しようとしていた時のことだ。資本金として集めた現金をどこかの銀行に振り込み「保管証明書」を発行してもらい登記所に提出する必要があるのだが、サラリーマン時代一貫して給与振り込み先にしていた銀行で門前払いをくらってしまった。


担当者いわく「個人事業から法人なりする場合なら可能なのですが・・・」。「宿泊事業のように、初期の設備投資の必要な事業の場合、個人事業を経由して法人設立という方が不自然ではないか。そもそも、借入れの申込みではなく、預けたお金の保管照明を求めているだけなのだから貴行には何のリスクもないではないか」と主張したが、再検討の機会は与えられなかった。


前者は三和銀行・浅草支店、後者は第一勧業銀行・西麻布支店でのことである。
ベンチャー企業の経営者なら誰しも銀行であれ、取引先であれ、顧客であれ、周囲に軽んじられ信じてもらえない悔しさを経験している。そういう時に門前払いにせず真摯に対応してくれる相手の存在はほんとうに嬉しいものだ。そういう企業や個人とともに成長していきたい、いつか恩返しをしたいというのは自然な感情だ。
企業の経営者として、判断は冷静かつ合理的でなければならない。感情に流されるのは好ましいことではない。それを承知で言うが、少なくとも私は一定の合理性を逸脱しない範囲内で、そういう人たちと仕事をしていきたい。それが、損得では計れないベンチャースピリットではないのか。そして、こうしたマインドが企業の発展と矛盾するようになった時、それが起業家の引き時なのだと考えている。興すことと育てることは、モチベーションの異なることだ。
いずれにせよ、私はふたつの苦い経験を忘れることはない。仕方のないことだと水に流すほどお人好しでもクールでもない。必要最小限のつきあい以上の関係は、>将来にわたってない。