天邪鬼の私は、ときどき「旅籠屋は、どうせローテクビジネスですから」などと、すねてみたりする。だが、ツールとして使っているという意味で言えば、この規模でこれほどネット技術を活用している企業は少ないのではないかと思う。
本社内のLAN、本社と各店舗を専用線で結ぶWAN、オリジナルのフロントシステム。もちろん、すべての情報は一元的にデータベースに集約されいる。加えて、ウェブサイトを開設して予約受付を始めたのは、もう4年以上も前のことだ。そのあたりの苦労話しはこの「旅籠屋日記」に詳しい。
しかし、残念なことに、当社にはPCの専門家もネットワーク技術者も存在しない。そんな人材を抱える余裕がない。その結果、しわ寄せは他でもない私に来る。昨年「那須店」近くに落雷があって、PCやルーターなどが即死した時の救急隊員は私である。つい数日前、「鬼怒川店」のネットワーク変更にともななうOSの入れ替えやルーターの設定に夜なべ仕事をしていたのも、この私である。
誤解のないようにくれぐれも言っておくが、「社長自らが出かけていってするような仕事じゃない」などという発想は私にはない。まわりに不平不満を言っているのでも、もちろんない。きちんとわかってもいないくせに、仕方なくこうした作業を行って、何が間違っているかもわからず失敗を繰り返してしまうことがじつに情けないのである。
自慢ではないが、ITなるものが、仕事にどれだけの恩恵をもたらすか、そのために仕事の進め方自体をどのように整理統合すべきか、という点について、私はその本質をかなり的確に理解し、当を得たシステムを作り上げてきたつもりである。しかし、システム構築の個々の具体的な作業は、本来職人の領分である。そして、私には、聞きかじりの知識や我流の断片的な経験があるばかりで、しょせん偽ネットワーク技術者に過ぎないのである。
それなら、潔く専門家に任せれば良いものだが、その費用は「旅籠屋的には」とんでもない金額だったりする。そして、パソコン周辺には「もしかしたら、俺にも何とかできるかもしれない」という幻想を抱かせる雰囲気が漂っていて、背伸びしながらも試行錯誤を繰り返してきたという次第である。そして、結果的になんとかなっているから、始末が悪い。


ところで、この7月には「山中湖店」「沼田店」がオープンし、「旅籠屋」もいよいよチェーンらしくなっていく。人・物・金・・・あらゆる資源が不足しているという意味で、当社もベンチャー企業の典型なのだが、そろそろあらゆる面で態勢を整えていかなければならない段階に差し掛かっている。本社と各店舗を結ぶネットワークやその上で動いているソフトも、6月には抜本的なシステム変更を行う予定である。セキュリティの問題もあり、詳しくは書かないが、この変更によって、急速な店舗増加にも対応できるシステムとなる。ハードやシステムの設定・メンテも格段にシンプルになる。通信費もかなり割安になる。


というわけで、またまた偽ネットワーク技術者の出動となるわけだが、あー、もうルーターの設定だけはイヤだ。ほんとうに何がなんだかわからずに仕事するのはイヤだ。今から気が重い。ほんとうは、人の整備が何より必要なんだよね。