じつに様々なニュースが飛び交っていますが、私が一番なるほどと思ったのは、感染医の高山義浩さんがfacebookに投稿していた この分析 です。


1番目は、都市封鎖を含めて徹底的に感染を限られた場所や地域に抑え込んで蔓延を防ぐ「封じ込め路線」、
その例として、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリア、アイスランド、ハワイ州が挙げられています。


2番目は、感染者が急増して医療崩壊が起きない程度に感染拡大のスピードを抑える「コントロール路線」、
その例として、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、日本が挙げられています。

3番目は、集団免疫による終息を信じ、最小限の感染抑制策しかとらずに感染拡大を容認する「拡大許容路線」、
その例は、スウェーデン、ブラジル、(方針変更前の)イギリスとオランダ。そしてアフリカなどの発展途上国もやむを得ずこの路線を採りつつあるようです。


経済活動の抑制、すなわちダメージの大きさで見れば1番>2番>3番
予測される死亡者の数で見れば、逆に、3番>2番>1番ということになるようです。
これは、すっかり有名になったジョンズ・ホプキンス大学によるシミュレーションでも示されていました。


もちろん、これら3つの路線=戦略には、以下のような前提条件があります。


ひとつは、感染者の大部分が無症状あるいは軽症で、致命率(致死率)が1.5〜3%以下にとどまること。
エボラ出血熱のように、致死率が50%を超えるような感染症の場合、3番目の路線を採ることは許容されないでしょう。


ふたつ目は、感染者は必ず抗体を持つようになり、その後は一定期間再感染することも、他の人へ感染させることもないだろうということ。
この点が未だ明確になっていないことが問題を複雑にしています。 3番目はもちろん、2番目の路線も、こういう期待を前提にしているのですから。


みっつ目は、いずれ、ワクチンや特効薬が開発されるに違いないと考えられていることです。
この期待が早期に実現しないとすれば、1番目の「封じ込め路線」は、いつまでも規制を緩めたり、鎖国を解くことが出来ず、
感染者が少ないだけに終息にもっとも長い期間を要し、経済的にも狭い範囲の内需に頼るしかなくダメージも大きくなります。
逆に、3番目は医療崩壊を甘受するわけですから際限なく死者が増え続け、社会全体が崩壊してしまうことになります。


PCR検査の数や規制の程度など、断片的な意見や批判が目立ちますが、こうして全体的な戦略を整理して眺めてみると、
医療体制の基礎体力、貿易依存度や内需経済の大きさ、国や自治体などの統治能力、人々の死生観や価値観など、
それぞれの国や地域で対応が異なるのは当然で、答えは一つではないことがわかります。


日本の場合、医療体制は充実しているものの、ICU病床や感染症対応力には脆弱な面があるようです。
経済面でいえば、もちろん貿易依存度は低くないのですが、一定の内需があり、ある程度は鎖国状態に耐えられるのかもしれません。
そうしてみると、2番目の「コントロール路線」を採っていることは、最適な選択だったように思えてきます。
しかし、これも、「集団免疫」の効果が発揮され、ワクチンや特効薬の開発が近い将来実現しないとジリ貧になってしまいます。
もちろん、そうでなければ、1番目の「封じ込め路線」も、3番目の「拡大許容路線」も結果は同じになってしまいます。


このように、現時点では、終息への道筋が見えないため、路線の優劣の判定もできませんし、 政府や自治体からの要請に対する対応も決めにくいのです。
しかし、個人としても、会社としても、今この時の方針を定めないわけにはいきません。


ところで、以上のこととは別の次元の判断基準はないのでしょうか。


その一つが、個人の自由を尊重するかどうかという問題です。
その面で考えると、3番>2番>1番ということになります。


いきなり、感覚的な話しになりますが、私個人は、 ここで紹介されているパリ在住の哲学者の心情 に共感を覚えます。
でも、個人的な感覚ではいけません。
さらに考えてみます。