11月も下旬に入った。
10月は 売上が前年比90%以上まで戻り、順調に回復していたが、今月は第3波が騒がれ始めて予約に急ブレーキがかかってしまい、頭打ちになってしまった。悩ましい。

ところで、今年も 「月刊 ホテル旅館」(柴田書店発行)の1月号に寄稿させていただく機会をいただいた。その原稿を以下に転記します。

年頭所感 「2021年の展望と課題」   コロナ禍を生き残る施策とポストコロナを見据えた施策

当社は6月が期末のため、コロナ禍は前期決算に大きな影響を与えました。売上は創業から25年目にして初の前年割れ、11期ぶりの赤字に終わりました。
3月から業績悪化が顕著になってキャンセルが殺到しゴールデンウィークは壊滅的でした。先行きの資金繰りに不安を感じ、借入れを増やしたのはこの頃です。
4月に緊急事態宣言が発出されてからは移動自粛ムードが強まり、役所から休業要請を受けたり、近隣から「営業を停止すべきだ」という抗議の電話を受ける店舗も複数ありました。
支配人も感染リスクを恐れ不安を感じていたに違いないのですが、「休業はしない、感染が明らかでない限りすべての方を受け入れる」という指示を出し、通常営業を続けてきました。宿泊者ゼロが続いている店舗の場合、休業して「雇用調整助成金」の支給を受けた方が得、という判断もありえたのですが、「車社会のインフラ施設」を自認し、誰もが気軽に泊まれることを大切にしてきたのですから、営業を続けることが使命だと考えたわけです。風評に惑わされず、他の施設で敬遠されるような方々もけっして差別しないというポリシーが試されることになりました。
自宅に帰ることが難しくなっていた病院関係者を数多く受け入れ、明らかに自主隔離で泊まられる方も拒みませんでした。テレワークの需要に応え、デイユースもスタートさせました。 
その後、第1波がおさまり6月には予約が戻り始めましたが、7月に入って第2波が騒がれるようになり夏休みも取り返しのつかない状況に終わりました。
そんな中で、7月22日から「GoToトラベル」キャンペーンが始まりました。料金が安いため、効果は限定的だと予想されましたが、参加しない選択肢はありませんでした。その結果、この数か月間、対応に膨大な手間を強いられ、振り回されています。現場を知らない官邸主導で強引にスタートした緊急対策ですから朝令暮改は当たり前、事務局に問い合わせても要領を得ず、割引を期待して予約されるお客さまとの間でストレスばかりが増えていきます。予約商売のため、早めに制度の詳細が決まらないために混乱が生じるのです。加えて、10月からは「地域共通クーポン」の配布も義務付けられ、数日前になっても券が届かないなど、綱渡りの状況がピークに達しました。
 当社の場合、直予約が多いため、今も先々の予算枠が決まらないことで気をもんでいます。割引分の入金は先になるため、資金繰りの面でも不都合が生じます。これは予約サイト企業を優遇して中小の宿泊施設を淘汰し、キャッシュレスを促進するという隠れた意図があるのではないかとも感じています。利用者をさもしくし、旅の価値を変質させている、これは行うべきではなかったというのが個人の感想です。
9月からは回復基調となり、10月にはようやくほぼ例年の9割前後まで戻ってきましたが、第3波の不安が広がって先行きは不透明なままです。
冷静にデータを見ると、新型コロナによる死亡者は例年のインフルエンザを下回っています。しかも、60歳以下の死亡率はほぼゼロのようです。検査の陽性者を感染者と呼び、不安心理を掻き立てる。これこそ、恐怖心に駆られたパニックというべき状況ではないでしょうか。
数年後、あの騒ぎは何だったのだろう、という日が来るかもしれません。その日が一日も早く訪れることを祈ります。
リーマンショックや東日本大震災の時と同様、「ファミリーロッジ旅籠屋」は平常心で営業を続けます。移動する自由を支え続ける、宿泊業の価値は目先の損得ではなく、世の中の圧力に同調することでもなく、もっと根源的なものだと信じているからです。