11月23日の勤労感謝の日が終わると、年末年始を除き、春まではもっともお客さんの少ない季節だ。そのタイミングを狙って、本社スタッフにアメリカMOTEL視察に行ってもらっている。こんな商売をやっていながら、じつは大部分の社員はアメリカのMOTELの実体験がないのだ。もう何年も前からこういう機会を作りたいと考えていたのだが、経済的にまったく不可能だった。今も余裕があるとは言えないのだが、資金繰りを左右したり、黒字計上に支障をきたす状況ではなくなった。留守を守りながら、ようやく念願がかなった幸せをしみじみと感じている。
12年前、初めてMOTELを泊まり歩いた時に受けたカルチャーショックを今でも覚えている。サービス業というイメージからかけ離れた、素っ気無い宿。1室20ドルというクラスになると建物も部屋も、そして人間もけっして上等とは言えず、なんとなくわびしい印象を受けたものだ。ところが、慣れてくると、あえて飾ろうとしない、こちらのご機嫌をとろうとしない開き直りが快く感じられるようになった。より高級に、よりゴージャスに見せようという「みせかけ」を追わないだけ、ウソがない。設備が劣り、建物が古びていれば、それなりに料金を安く設定する。かといって、卑屈になっている風でもない。「俺のところは、こんなだけど、まぁ見かけほど悪かないよ。ちゃんと快適に眠れるし、シャワーだって部屋についてるぜ。何より安いのがサービスだろ」って胸を張ってる。なんだか正直で潔い。こっちも割り切って泊まるから余計な期待をしない。高級志向のホテルと違って、「どうだ、凄いだろう」という押し付けがましい威圧感が微塵もないから、やけに気楽な気分になってくる。
今頃は、2軒目のMOTELでの朝。時差ぼけも治まり、右側運転にも慣れて、そろそろ旅気分にひたれるようになった頃だろうか。同じ宿に泊まり、同じ旅をしても、感じることは人それぞれだ。だから、彼らが私と同じような感想を持つことはないかもしれない。それはそれで良い。ただ、今後の「旅籠屋」の事業展開にあたって、リアルな体験を共有しながら話しが出来ることは大きなプラスになるに違いない。そう、旅ばかりは実際に行かなきゃ味わえないものなのだ。
来年からは、各店舗の支配人にも、順次出かけてもらう予定だ。なんだか、私も、やっぱりまた行きたくなってきたぞ。



