北京オリンピックが始まった。
楽しみにしていたサッカー、男女とも初戦でつまずき、気分が悪い。
気力を吸い取られてしまったようで、11時には床についた。
ところが、3時過ぎに目が覚めてしまい、そうなるとアレコレのことが頭に浮かんできて眠れなくなる。
しばらく、ネットをうろついているうちに外は明るくなり、思い切って起き出すことにした。
最近、こういう日が増えている。
気分を軽くしようと朝風呂に入り、食器を洗い、汚れが気になっていた便器やテーブルを拭き、朝刊を読み、6時にはオフィスに出てきた。
3月から7月にかけてオープンが7つも続き、何ヶ月も文字通り目の回るような忙しさだった。
それが終わるとひと段落、と思っていたが、決算に向けた監査や年度替りに伴う書類更新に追われている。
きのうも、毎月の稼働率のグラフを作成してサイトにアップしたが、単純作業を26回繰り返すことになる。
店舗が増えることはもちろん本望なのだが、単純にその数だけ心配事も増える。
停電した、パソコンが動かない、予約でお客様と行き違いが生じた・・・まわりの席からそんな電話のやりとりが毎日のように聞こえてくる。
本社はほんとうに忙しい。
人数のやりくりがつかないと専務をはじめ店舗管理スタッフが店舗の代行勤務に出かけるし、忙しい店には掃除のヘルプにも出向く。
店舗開発のスタッフは、出店候補地を探したり、役所への事前相談や周辺説明に遠方を強行軍で走り回る。
全員がそろう日はほとんどない。
店舗からは毎週、毎月報告書が送られてくる。電話はひっきりなし。
建物の不具合や、用品備品の補充依頼。運営上の質問や相談。
支配人のストレス軽減を最優先に取り組もうと、少しでもはやく対応することにしているが、どれも簡単なことではない。
毎日数十通も届くアンケートハガキの処理や問い合わせへの対応、これも待ったなしだ。
仕事を追いかけるようにしよう、と言ってはみるものの、日々の雑務は増えるいっぽうで、日常業務を追い越すのは容易なことではない。
毎晩、終電間際まで残っているスタッフに「無理するなよ、つぶれないようにね」と声をかけた事も一度や二度ではない。
今年に入って、本社も派遣を含めて3名のスタッフが増えたが、それでもゆとりが生まれたという実感はない。
みんな一生懸命だ。
みんな誠実に仕事に取り組んでいる。
そうしたスタッフに恵まれていることを、つくづく幸運だと思う。ありがたいことだと思う。
猛暑が続いている。
毎日のように、どこかで突然の雷や豪雨が発生している。
地震もある。
昼食もそこそこに汗まみれになって走り回っている支配人たちの姿が思い浮かぶ。
こうした社員たちに報いたい、気持ちの張りを持ち続けてもらえるようにしたい・・・。
そのことが頭から離れない。
きれい事を言っていると思われるかもしれないが、旅籠屋に関わった人が、みんなそれなりにハッピーになれること、
そうでなくては、会社が存在する意味がない、と心底思っている。
十年ほど前、あるホテルコンサルタントを訪ねた時に言われた言葉が頭をよぎる。
「そんな薄利のホテルを直営でやるなんてばかげている。ややこしいことが増えるばっかりで3店舗が限界だよ。俺なんか、土地活用のアイデアを提案するだけだ。リスクはないし、儲かるだけだ」
数年後、彼は耐震偽装事件の関係者としてマスコミに登場していたが、結局、そこでも責任は問われなかった。
根本的な考え方が違う、冗談じゃないと腹を立てた十年前の怒りを反芻する。
しかし、あまりに忙しいとイライラする。
ついつい言葉がきつくなる。
取引先にも失礼な態度をとることがある。
生来のわがままがコントロールできなくなる。
申し訳ないことをしてしまったなぁ。
これじゃイカンなぁ。
どこかで不信感を持たれているかなぁ。
大きなトラブルになる兆候を見落としてないかなぁ。
アレコレのことが頭に浮かんできて眠れなくなる。



