1987年以来、毎年のように観戦に行っている「 鈴鹿8時間耐久ロードレース 」。
公私ともに忙しく、ギリギリまで迷っていたが、3年ぶりに現地で観戦することにした。しかも、今年は久しぶりに友人とふたり、バイクでのロングツーリング。高速道路の休日特別割引を活用しようと2ヶ月前にETC取り付けを申し込んで、それもなんとか間に合った。
思い返せば20歳の頃、近所の自転車屋さんで3千円の中古カブを買って以来、初めはゲタ代わりのつもりだったのにすぐにバイクの虜になった。その魅力を語る言葉は世の中にたくさんあるが、要は性にあっていたということだろう。
寝袋やテントを積んで野宿ツーリングに行ったり、あちこち分解したりちょっとした改造をしてみたり、ミニバイクレースに出ようと練習してみたり、トライアルバイクを買って毎週のように山へ出かけたり、いろんな思い出がある。
そんな中、30代も半ばになって初めてレース観戦にいく機会があり、言葉で表せないような衝撃を受けてしまった。
そのあたりの経緯は12年前に書いたこちらの旅行記で。
その後、縁あって、8耐に挑戦し続けるプライベーターをサポートし「チーム旅籠屋」として参戦( 2000年 、 2001年 )したりもした。
バイクとの出会いがどれほど私の人生を豊かにしてくれていることか。
さて、今回の観戦旅行。
8耐といえば基本は7月末の開催、真夏のイベントの代名詞になっている。少しでも炎天下の走行を減らそうと、初日金曜日は仕事を終えたあと、夜のうちに走って途中の「ファミリーロッジ旅籠屋・牧之原店」へ宿泊することにする。
ところが、 いきなりの雨で時間がかかり、吉田ICを下りた時点で土曜日(23時に間に合わないことは途中から支配人に連絡済み)。幸か不幸か、初日から休日特別割引の適用を受けることになった。
深夜0時半、 宿に到着。すでに明かりが消え、静まりかえっているため、すぐにエンジンを切って車寄せの端にバイクを駐める。びしょぬれになった服を脱いで暖かいシャワーを浴び、持参のモバイルPCでメールチェックして、広いベッドでくつろぐ。手前味噌ながら「ファミリーロッジ旅籠屋」は、シンプルだけど、とても心地よい。2輪のツーリングにももっと使って欲しい、と思う。
2日目、外は今にも雨が降り出しそうな鉛色の空。今回はプライベートでの利用なので宿泊料金を支払い、遠慮なく朝食のパンやコーヒーをいただいてカッパを着て出発。
伊勢湾岸道が開通し、鈴鹿周辺道路が整備されたおかげで、サーキットへのドライブは格段に楽になった。途中、前半は雲が切れて夏の日差しにさらされたものの、後半はまた土砂降りの雨に見舞われて靴は再びグショグショ。2時半頃には到着したが、予選は裸足で観戦。
サーキットは大幅な改築直後で、園内もスタンドも大幅に雰囲気が変わっている。来場者も少ないので、屋根のかかっているV2スタンドはとても快適。
以前サポートしていたライダー達はその後も参戦し続けており、予選落ちを繰り返していたが、今年はギリギリのタイムであすの決勝に出られることになった。素晴らしい。知人が走っているとなれば、観戦の楽しみも比較にならないほど大きくなる。
夕食を済ませ、定宿に着いて、友人とバイク談義をしながら眠りにつく。
いよいよ決勝当日。天気予報は曇り時々雨だが、空は明るい。 10時半過ぎに席につく。 まわりは空席が目立ち、ゆっくり観戦できそう。
11時過ぎからはチームとライダーの紹介。聞こえないとは知りつつも、予選突破した知人ライダーに大声で声援を送る。 40過ぎても挑戦し続けている一途な思いに拍手。
11時半、予定通りスタート。
50台以上のマシンがいっせいに始動して1コーナーへ飛び込んで行き、2分ちょっとの静寂のあと、一群の流れとなってホームストレートに戻ってくるときの音と光景は何度経験しても感動的だ。
生身のライダーが時速250kmを超えるスピードで加速しながら次々に駆け抜けていく。真っ赤になった純粋な人間の意志そのものが迫ってくる感じで、心が震えてしまう。血が騒ぐ。
その後のレース経過は省略。
途中、3回ほど土砂降りの雨になり、4回もセーフティカーが入る大荒れのレースになったが、結果、応援していたヨシムラのチームが優勝。
知人ライダーのチームも、なんと35位で無事完走。きっとピットで喜びを爆発させているに違いない。良かった、ほんとうに良かった。おめでとう。
過酷なレースだったせいで、ゴールの時の感動も大きく、パレードラップで全車が戻ってきた時は泣きそうになった。
庇の深い席にいたため、雨にも降られず、直射日光にも当たらず、今年は快適な8時間。無理して来てよかったな、と思う。
いつもなら、宿に戻ってのんびりと余韻を楽しむところだが、今回は帰りのロングツーリングが待ってるので、すぐに気持ちを切り替えなきゃならない。サーキットホテルのレストランでいつものように夕食を済ませ、小雨模様の中、亀山から新名神を抜けて今夜の宿である「レストイン多賀」へ。これも高速道路料金節約のためだ。
もっとも通行量の多い名神・東名・中央高速のSAにこそ、「ファミリーロッジ旅籠屋」があればこんな遠回りなどしなくて済むのに。
というか、民主党の公約が実現して、高速料金がタダになってしまえば、この辺の事情も一変してしまうかも。今回ならインターの出口脇にある「土岐店」などが最適だ。
いずれにしても沿道にあると言う意味でSA・PA内の宿泊施設の利便性は変わらないのだから、中日本高速道路の英断を望みたい。
そんなことを考えながら夜の新名神に入った後は夜空の雲も消え、快調に走り、11時半には多賀SA内にある「レストイン多賀」にチェックイン。すぐに大きな風呂に入って、リフレッシュ。なんとか、無事ここまで来たぞ。
一夜明けて、いよいよ、東京に戻る月曜日。
当たり前のことだが、肝に銘じているのは、とにかく無事に旅を終えること。気を引き締めて、走り始める。
今回乗ってきたのは、所有している2台の250ccバイクのうち、ロングツーリング向きのKAWASAKIのエリミネーター。
もう1台のYAMAHA R1-Zは高速道路の長距離走行には向いていない。以前、仙台から走ってきたときの旅行記。
調べてみたら、エリミネーターを買ったのは15年前、1994年の9月。旅籠屋を設立した直後、まだ1号店の構想を立てている頃だ。
最近は、めっきり乗る機会も減っていて、高速を走るのも久しぶりだったが、エンジンは快調。なにひとつ不具合は感じなかった。
しかし、けっして無理はせず、時速100km以下でたんたんと走る。行きと同じ道を通るのも能がないし、交通量も少ないだろうと、帰りは中央高速に走ることにしする。
ずっと、小雨模様の天気の中、夕方7時前、明るいうちに無事帰着。
450kmは長かったけれど、 真夏の太陽にも焼かれず、土砂降りにもあわず、かえってラッキーだったかもしれない。
ETCは、ほんとうに便利だった。安かったし、2輪で高速使うなら必須。
8耐、思い切ってバイクで行ってよかった。ウルウルした。
しかし、時間に追われて走るロングツーリングはつらい。
宿泊した「牧之原店」をはじめ、「浜名湖店」「桑名長島店」「伊賀店」「彦根店」「土岐店」「小淵沢店」「韮崎店」などが沿線にあり、近くを通るたびに「支配人」の顔や店の様子を思い浮かべたりした。
機会を見つけて、これらの店に泊まりながらゆっくり旅したいと、 何度も何度も考えた。



