本日開催の第15期定時株主総会、10名ほどの株主の出席をいただき、先刻、滞りなく終了した。
5年ぶりに赤字決算になり、厳しい叱責も覚悟していたが、暖かい励ましの言葉もいただいた。
任期満了にともない、甲斐 幹が退任し、店舗開発部長である森 弘と、店舗管理部長である小島 裕生が新任の取締役に選任された。
甲斐 幹は、私の父である。
15年前、旅籠屋の会社設立資金を出資してもらい、その後も金融機関から相手にされない時代、何度かつなぎの運転資金を融通してもらった。取締役として15年余り、いっさい無給でありながら、陰ながら会社を支えてくれた。
年初より、病床に臥せっており、はやくから退任を決めていたが、最後の総会は欠席となった。
というのも、任期満了前日の昨夕、残念ながら遠くへ旅立ってしまったからである。
寝たきりとなって8ヶ月、本人の希望もあり、自宅での介護を続け、幸い痛みや苦しみも少なく、眠るように息を引き取った。
数日前まで、いつものように私が口元に運ぶスプーンから夕食の粥を食べてくれた。
数時間前までは、呼べば目を開いてくれた。
ろうそくの炎のように消えそうになる命の火を揺らせながら病いと闘っていた。
母は両手でその炎を包み、消えないように必死に守り続けていた。
しかし、とうとう、最期の1時間、握り続けた手が反応を返してくれることはなかった。
最後まで「寒河江店」に行きたいと望んでいたが、叶わない願いとなった。
株主総会の会場は、本社近くのいつもの貸しスペース。
部屋に入った途端、昨年まで隣りに座っていた姿が思い出され、一瞬胸が詰まった。
朝、妻から父愛用のネクタイとベルトを渡された。
これを身につけ、いつものように「参加」してもらった。
ここ数年はすっかり安心し、滅多に仕事の話をする機会もなかったが、「旅籠屋」の発展を心から願い、店が増えていくことを喜んでくれていた。
ただ1人の子供として、個人的な思いは尽きないが、旅籠屋にとって、ひとつの時代が終わり、新しい時代を迎えている気がする。
遺志を裏切ることなく、努めて行きたいと思う。
きょうの株主総会が、その第一歩になるのかもしれない。
幹さん・・・
私は、幹さんが激しく我が身を燃え立たせて生きてきたことを知っています。
時にはその熱に焼かれ、時には暖められてきましたが、確かにその炎は周囲を照らしていました。
いつも一生懸命の後姿を見ていましたよ。
男として、人間として、立派な人生でした。
社会的地位とは関係なく、誇れる父親でした。
「ごまかすな」
幹さんが私の心に焼きつけた血の刻印です。
ありがとう。



