以前にも書いたことだが、1年半ほど前から、取引先金融機関に対し、「今後は借入の際の社長の個人保証条件を外して欲しい」と要請してきた。
十数年前、初めてプロパー融資を行っていただいた信用金庫や、初めて融資いただいたメガバンクには恩義を感じており、真っ先にお願いしてみたのだが、「先例がない」という理由で断られてしまった。取引年数も長く、当社の状況もよくご存知のはずなのに残念なことだった。やはり、金融機関は保守的で、相変わらず横並び体質なのかもしれないと思った。
しかし、諦めるわけにはいかない。設立当初の企業や同族経営の会社ならば一定の合理性があるが、株式会社として社会性と継続性を重視する企業にとって、社長の個人保証は健全な発展の阻害要因となる。不合理な慣習に挑戦するのは当社のDNAであり、存在価値に関わることだからである。「それでは、今後のお付き合いは難しくなります」と意地を張ってきた。幸い、運転資金に困ることはない。


こうして状況が変わらないまま1年が過ぎた。


ところが、今秋「勇気ある経営大賞」の優秀賞受賞のおかげでいくつかの金融機関から「新規の取引を」というお誘いをいただき、同じ条件を提示したところ、ひとつの銀行から「問題ありませんよ」という回答をいただいた。最初は半信半疑だったが、初めての取引にも関わらず、物的人的担保もなく、金利条件も変わらずにすでに融資が実行された。


小さな一歩かもしれないが、ベンチャー企業としての役割を果たせたという意味で、正直嬉しい。


先に書いた三菱東京UFJ銀行の口座もとうに解約した。
これは、何のために企業があり、社会的意義や責任というものをどう考えるかという根本問題なのだ。