7月29日に公表した通り、本日午後に開催される定時株主総会をもって、私は取締役を退任し、完全に会社から離れます。
日本にもアメリカのMOTELのような宿泊施設を展開し、自由で自立した旅を提案するとともに、新しい働き方を実現しようと思い立ってから30年近くが過ぎました。
志を曲げることなく、思い描いた夢の一部を実現できたという達成感があります。
多少は感傷的になるかと案じていましたが、年初に「創業理念」をまとめ直し、ここまでの出来事や思いを「旅籠屋物語」と題した動画に残したこともあり、やりきった感じ、すがすがしい気持ちに包まれています。
そして、意欲あふれる後継者に恵まれたことは、何よりの幸運でした。
少ない貯金をはたいて、房総に中古の一戸建てを破格値で購入したので、明日からは晴耕雨読の生活、老母を支えながら愛犬たちとのんびり穏やかに暮らしたいと考えています。
コロナ禍で会社がたいへんな時期に会社を離れることについて、「無責任ではないか」との批判を受けました。
リタイアは何年も前から考えていたことで、自分に鞭打ちながら会社を支えてきた自負があるので、その批判は甚だ心外です。
コロナの影響など一時的なものです。私が退いても確実に業績は回復し、その後安定して継続発展していく事業だと確信しているからこその決断です。
また、それなりの役員退職慰労金をいただくことについて、株主の方から「良心を疑う」と叱責されました。
30年近く金銭的な報いを後回しにし人生の大部分を会社につぎ込み、他の人にはわからないストレスを背負ってきたのですから、何の後ろめたさもありません。
平時なら倍額以上であっても良心の痛みなど微塵もありません。世の中に新しい価値を提案し、具体化してきたことを軽く評価されるのは残念です。
とはいえ、これまで、多くの方々や取引先の皆さんの厚情に支えられてきました。間違いなく幸運にも恵まれてきました。
しかし、それは不断の努力と誠実な姿勢を守り抜いてきたからだと、密かに自負しているところです。
私利私欲のために、周囲を利用したり欺いたことなどありません。達成感やすがすがしい気持ちは、その結果です。
そして、最大の幸運は、この30年間、まがりなりにも平和な時代が続いたということです。
コロナ禍による行動自粛は人生自粛だと嘆いている人がいました。同感です。
感染防止に努めながらも、ひとりひとりが自由に旅し、生きて行くことが大切にされることを心から願っています。
ただし、わがままで短気な性格のせいで、周囲の人たちに向かって声を荒げたことが数多くありました。一生懸命だったからという言い訳もありますが、傷つけてしまったことは間違いありません。今更ですが、この場を借りて、お詫びします。ごめんなさい。
去年と同様、株主総会は平穏無事には終わらないかもしれません。可能な範囲で誠実に対応したいと考えています。
それでは、いよいよ最後。
お付き合いいただいたすべての皆さんに心からお礼申し上げます。
皆さんが健康で心豊かな生活を送られることを心から祈ります。
どうぞ、これからも旅籠屋をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。そして、さようなら。
間違いなく 充実した仕事人生でした。



